「須賀チーフって絶対柚のコト好きだよね」
『はぁ?!』
同じ遅番だった沙保に誘われて居酒屋へ。
飲みたい気分じゃなかったんだけど。
沙保も心配して誘ってくれたんだろうな、と。
…ちょっと嬉しかったのに。
須賀チャンが私を好き?
『…ないない』
オレンジをたっぷり搾ったサワーが入ったジョッキを片手に。
私は空いてる片手を振る。
いやいや。
ありえないでしょ〜?
だって。
あの須賀チャンだよ?
人のこと土偶扱いする須賀チャンだよ?
「今日ホールでも心配してたんだよ、須賀チーフ。
ちょこちょこホール抜けてキッチン行っちゃうし」
『…心配なのはキッチンの状況でしょ』
「いーや、違う。
あれは柚が心配なんだよ」
ダンッ。
空になったジョッキを。
音を立ててテーブルに置く沙保。
…はいはい。
もう好きにして…。