「俺、今日ホール出るからキッチン入んな」
何も言わない私に。
須賀チャンは理由も聞かず仕事を変わってくれて。
キッチンにいる他のスタッフも。
私のヒドい顔の理由には触れてこなかった。
キッチンで雑用に追われていても。
ホールからのオーダーの声に反応しても。
頭の中にはとーやクンがいる。
昨日のことが夢のように。
いつもとなにも変わらない。
でも。
私の腫れぼったい目だけは。
全てが現実だと教えてくれる。
…それだけじゃない。
泣いても“現実”は変わらないと。
目の奥に残る痛みが。
私に訴えかけるんだ…。
ようやく体がいつも通り動くようになって。
慌ただしいランチタイムも終わった。
少し遅めの休憩に入ると。
須賀チャンも休憩室に入ってきた。