ほんの少しの苦笑いを見せた後。
ミズキクンは。
ちょっとクセのある赤い髪をいじりながら口を開いた。
「…お礼があんなモンで申し訳ないね」
『“あんなモン”って!!
レアもレア、激レアですって!!』
「…まぁ、たしかにメンバー以外で持ってんのはゆずチャンだけだね」
“ゆずチャン”だって。
激レアのアルバムもらっちゃったうえに。
いつも聴いてるミズキクンの声で。
名前、呼ばれちゃった。
…もう1回、呼んでくれないかな…。
…なんて思っていたら。
“クス”っと小さく笑う声が聞こえた。
「でもお礼ならモモに言ってやってよ」
『え?!』
突然出てきた“モモクン”の名前に。
“ドクン”と。
心臓が大きく波を打った。

