不器用なシタゴコロ


私の言葉に。

とーやクンは“傷つきました”的にため息を吐いた。

そして。





「…俺ってそんな風に見えてるわけ…?」





さっきよりさらに深いため息を吐いて。

首を振った。





ど、どうしようっ!!

傷つけちゃった?!

悪気があったわけじゃなかったんだけど。

とーやクン、落ちちゃったよ…。





項垂れるとーやクンに。

弁解を始める私。





「や、そのっ…!!そーゆー意味じゃ…
ゴメンね…っ?!」

「…連れ込むのが目的なら最初っから“ヤラシイトコ”に行っちゃうでしょ」





はっ?!





顔を上げて、ペロッと舌を出したとーやクン。





「失礼しまーす」





そこに運ばれてきたビールと数品の料理。





「さ、ゆずサン。飲もうか」





ニッコリ笑って。

キラキラと泡が上るジョッキを片手にとーやクンが言った。





…前言撤回。

傷ついてもないし。

謝る必要もなかったらしい。