不器用なシタゴコロ


窓の外を流れていた景色は止まっていて。

コンクリートの壁に囲まれていた。





「あっ…ゴ、ゴメンねっ!!」





パタン、と慌ててアルバムを閉じると。

とーやクンと目を合わせた。





…目を合わせてもなんか気まずい…。





自分から合わせたくせに。

早くも目を逸らしたくなるこの空気。





とーやクンは“ガチャ”と自身のシートベルトを外すと。

身体ごと私の方を向いた。





「今日デートだってわかってる?」

「…はい」

「デートだってわかってて、他の男に見入るなんて。…いい度胸してんね」

「…ッ…?!」





そう言いながら。

意地悪そうに唇の端っこを持ち上げたとーやクンが。

私の頬に指を滑らせた。





「え…ちょ…っ…?!」

「…俺だけじゃ満足できなかった…?」





…いやいやいやいや!!

“他の男”って…。

写真でしょ?!

しかも。

コレ、とーやクンがくれたんだよね?!