…果実の“桃”に“夜”で。

“桃夜”。

それがとーやクンの名前…。





「桃の日の夜に生まれたから“桃夜”。…なんて、安直だよな」





そう言ってテレくさそうに笑うとーやクンが。

なんだか可愛く見えた。





赤外線で繋がれて。

ケータイに入った名前のない番号とアドレスに。

“桃夜クン”と名前を登録して顔を上げると。

そこには。

柔らかく微笑み、頬杖をついたとーやクンがいた。





「…どしたの?」

「いや、別に」

「気になる」

「気にしないで」

「気になるよ」

「なんでもないから」





そこに空気を読んだのか読めないのか。

注文したハンバーグとドリアを、ウェイトレスさんが運んできた。





「じゃ、食べますか」

「……………………」





…また、誤魔化された…。