「気付いたらどこにもいないんだもん…。私だってとーやクンのコト探してたんだから…」
視界が歪んだのがわかった。
いきなりとーやクンに怒鳴られたせいなのか。
とーやクンにまた会えた安堵感からなのか。
目に浮かんだものが頬を伝っていく。
伝っていくものを見られたくなくて。
また膝を抱えた。
「とーやクンこそどこ行ってたのよ…」
小さい小さい私の言葉。
その声が届いたのか。
“ハァァァァァ”と深いため息をひとつ吐いた。
そして。
とーやクンは隣にしゃがみこむと。
なぜかちょっと頬を赤くして。
私の頬を両手で挟んで視線を合わせてきた。
「…俺、トイレ行ってくるから待っててって、言った…」

