不器用なシタゴコロ


「…すっごい…」

「…すげ…」





頭の上にあるアーチ型の水槽を見上げると。

光が差し込んでキラキラ光る水の中。

色とりどりの小さな魚に珊瑚礁。

その中を優雅にイルカが泳いでいた。





「海の中にいるみたい…」





太陽が反射して。

光の粒が降ってくる。

キラキラ、キラキラ。

下からあがる小さな泡が。

シャボン玉みたく。

フワフワ、フワフワ。

まるでここだけが別世界のように煌めいていた。





イルカがくるん、と回ったとき。

とーやクンが真横にいることに気が付いた。





「…キレーだね」

「海中を散歩してる気分」

「ホント」

「このまま一緒に泳げるんじゃないかと錯覚起こしそう」

「アハハッ」





そう言ってとーやクンが微笑んだ瞬間。

私の心臓は。

また“ドクン”と音を立てた。