「有希、さよなら。」


ガチャン!


ツーツーツー



ああ、

失いたくない史佳が、

ボクの前から去っていく。

何でこうなってしまったんだ?

やっぱり、

ボクが強くないのがいけないのかな。

でも、

『さよなら』を言われたら、

ボクは、

これから先、

どう生きていけばいいんだ?



不思議だな。

史佳と知り合う前は、

普通に生活をすることができて、

史佳がいなくても平気だった。

でも今は、

史佳がいないと、

モノトーンの世界だ。


気づいたら、

受話器を持ったまま、

ずっと動かないでいた。


『さよなら。』


史佳の声が、

ボクの頭の中で、

グルグルまわる。

『親友』と言われた時に、

心に何かが突き刺さったけど、

『さよなら』は、

大きな岩石で、

殴られたような衝撃だった。

史佳。



ごめんな。