「んもう、有希ってば。」


クスクス笑い出す史佳。

そんなにおかしい?


「有希は有希であることには変わりないでしょ?」


そっか。

ボクはボクなんだよな。

史佳って大人だなー。

それに比べて、

ボクはまだガキだ。


「んーと。有希だから…『勇気』ってどう?」


「ん?」


「有希が男の子になった時の名前だよ。こうやって勇気を出して言ってくれたんでしょ?有希はいつだったか、私を守ろうとして、勇気を出してくれたじゃない。だから有希には『勇気』って名前がピッタリだよ。」


「そっか。うん、そうだな。史佳、ありがと。」


「うん!」


史佳が最高の笑顔で、

返事をしてくれた。



普通なら、

ドン引きするような話なのに、

史佳は真面目にちゃんと、

聞いてくれた。

きっと家庭で色々あったから、

人の苦しみを、

わかってくれるんだろうな。




やっぱり、

ボクは、



史佳を愛してる。



って、

さすがにそっちは告る勇気、


全く出ないけどな。