「有希…。」


史佳はボクの顔を見た瞬間、

泣き出してしまった。

ボクは史佳の隣に座って、

史佳を抱きしめた。


「辛い時なのに、一人にしてごめんな。淋しかったよな?ごめんな。そばにいるって約束していたのにごめんな。」


「ううん。いいの。大貴に会ったんでしょ?私は大貴の顔を見るのが怖かった。大貴から、真実を聞かされるのも怖かった。死のうと思ったんだけど、でも手首を切っても死なないんだね。」


「もう死ぬなんて考えるなよ。ボクがいるじゃないか!」


「そうだね…。ごめんなさい。迷惑かけてごめんなさい。」


「ボクは史佳が大切だから、迷惑なんて感じないよ。」


「有希、いつも優しいね。ありがとう。私ね、有希といると落ち着くの。」


ボクは落ち着く時もあるけど、

ドキドキするんだけどなー。


「とりあえずボクの家に帰ろう?」


「うん…。」


こうしてボクと史佳と、

ボクのお母さんの三人で、

タクシーに乗ってボクの家に帰った。