今度こそ本当に行き止まりだ。
輝の許可なんて貰えるわけがない。
私は……輝のものになるしかないの?
『今度は輝くんといらっしゃいな』
ふふっと笑う園長さんに、嘘でも笑顔は見せられなかった。
この人は、味方じゃない。
そう思ってしまったから……
『輝は……来ません』
もう、どう足掻いても無駄なんだ。
私には、降参しかない。
『輝は絶対に来ない…… だって私が苗字を知ったら、自分が負けちゃうもん』
情けないけど、涙が溢れそうだ。
悔しくて、そして悲しい……
『じゃあ、輝くんに伝えてくれるかしら』
『え?』
『失(ナ)くしたモノを見つけたいなら、自分で来なさい。と』
強い口調。
強い視線。
ハッキリと言った言葉に、浮かんだ疑問。
失くしたものって?
咲耶が言った事と関係があるの?
【誰か自分を見つけてくれないか】
そういう事なの?
『あの……それって……』
『貴方には迷惑をかけてしまってるみたいだけど、嫌わないであげてね……?』
いや、あの、嫌わないけど。
そんな事より、やっぱり輝は……
『きっと彼は貴方を気に入ってるのよ。 貴方を一目見た時に思ったわ』
気に入ってる!?
輝が私を?
そりゃ、嫌われてはないって前から思ってたけどさぁ。
でも恋愛対象ではないような気もするし。
ってか、オモチャって感じ?
『あの、輝と私は……』
『ふふ、輝くんと仲良くね』
仲良くってぇ~!
私の話聞いてよ!!

