6時間以上かけて訪ねた、たいようの家。
どうやら行き止まりみたい。
手がかりも答えも見つからないまま、また戻るのか……
そう思うと、自然にがくっと肩が落ちる。
『ふふ、お時間大丈夫ですか?』
そんな私の横で、クスクスと笑い声が。
『もうすぐ園長がお帰りになるので、園長の方に伺ってみましょう』
その言葉に、まだ行き止まりじゃないんだ、と思った。
この人が知らなくても、まだ他に職員はいる。
園長ならもしかして……
『こちらでお待ちになって下さい』
通されたのは殺風景な部屋。
可愛く飾られた部屋をいくつも見てきた後だから、余計にそう感じたのかも。
ソファにガラステーブル。
背の高い本棚。
床は鏡みたいにピカピカ。
ってか、スカートはいてこなくて良かった。
こんなんじゃ床にパンツ映っちゃうよ。
なんて事を思っていると、壁に一枚の写真を見つけた。
大きく引き伸ばして額縁(ガクブチ)に入った大切そうな写真。
沢山の子供達と、中心には背の高い男の人。
この人の顔、どっかで見た気がするんだけど思い出せない。
誰かに似てるとか、そんな感じなのかな?
『それは、中林さんですよ』
と、背後からの突然の言葉に肩がビクッと跳ねた。
『もう15年近くも前の写真です。 初めて中林さんが訪れた時の……』
優しそうなおばさんが、「よいしょ」とソファに腰掛ける。
『初めまして。 園長の壁谷といいます』
『……園長さん……?』
男の人だと思ってたのに、こんな優しそうな人だなんて……
何だかまたまた拍子抜けしたよ。

