確かに「デートしてもいい」って言ったし。
間違いないって認めるよ。

でも、だからって……

『6時に迎えにくるとか有り得ないんだけど!』

まだ空が薄暗いんすけど。
どーゆうつもりよ……

『遠出すんだろ? 昼には到着したいからさ』

昼?
まだ6時だよ?

それに、無理矢理起こされたから仕度もしてないっつーの。

『鞄はこれだろ? 着替えは……これな。 俺の好みだから』

ってオイ。
話を進めるな。

『って、昨日のワンピかよ!!』

これはキャバ嬢みたいで不評なんだっつの!

『ったく……あんた、私を馬鹿にしてんの?』
『うん? 何で? マジで可愛いと思ったんだけど』

……は?
可愛いとか、何言っちゃってんの!?

そんな真顔で……

『綾香、昨日のメイクも髪も自分でやったんだろ? 可愛くて、雑誌なモデルかと思った』

……何よ、こいつ。
あんな不評だった格好を可愛いって言うし……
褒めるし……

なんなのよ。

『照れるよ……馬鹿……』

さりげなく口説くなんて、相当やるじゃん。
わざとらしいお世辞より、グッとくる。

やばい。
マジやばいよ。

こいつホストなのに……

『ほら行くよ。 新幹線に間に合わんくなる』
『し……新幹線!?』

な、な、な……!?
どこ行くつもりなのよ!!!!