♂GAME♀

《ぴんぽーん》

と突然、鳴り響くインターホン。

一体誰なの?
今日は誰もくる予定ないし、通販で買い物した覚えもない。

『綾香〜? 俺だけどー』

智志!?
しまった!
今日は土曜日だ。
智志の仕事が休みの曜日だったんだ!

『彼氏みたいだけど。 どうすんの?』

しれっとした顔で玄関に立つ輝。
つか、あんたが焦ってないの、おかしくない!?

『綾香〜?』

ヤバッ どうする!?
どうしたらいい!?

か、隠さなきゃ!

『輝ッ こっち!』

輝の腕を掴み、部屋へ。

《ガチャ》

が、ガチャって……

ヤバァァーイ!!
鍵開いてたんだ!

もう迷ってる暇はない。
輝を隠す場所は……ここだ!



『綾香? ……なんだ、いねーじゃん』

部屋の中から智志の声が聞こえる。
私の姿が無い事に少し不思議そうにしながら、部屋をウロウロしてるみたい。

『……何で綾香まで隠れるの?』

と、輝が言う。

仕方ないじゃん。
隠れてから隠れた無意味さに気付いたんだもん。

『つか、カーテン開けられたらどうすんの?』

それが問題だ。
私達は上手く隠れられたわけじゃない。

ただ、ベランダに避難しただけ。
智志がカーテンを開けたら、すぐに見つかってしまう。

何とかここを脱出する方法を考えなくちゃ……

『とりあえずさぁ。 俺の部屋来る?』
『へ?』
『俺の部屋から出て、玄関から入ったら? 「コンビニ行ってたの〜」みたいな』

お、頭いいじゃん。
輝のくせに。

馬鹿ホストのくせに、みたいな?