♂GAME♀

『いやー、もう、全身筋肉痛』

少し早く起きてしまった朝の9時。

『体年齢とかヤバイかも、俺』

何故か輝がうちの玄関に現れた。

『何なのよ。 朝っぱらから…』

昨日のドッジで私も疲れてる。
今日は夕方まで寝るつもりでアラームをセットしなかったくらいなのに…

『これなーんだ』

汚い物をつまむみたいにして目の前にぶら下がったのは……私の携帯?

間違いない。
だって大きなバラとラインストーンをちりばめた唯一無二のマイ携帯。

何で輝が?
じゃあさっきベッドの上に投げた携帯は一体……

『普通気付かねぇ? 俺の携帯、こんなに派手じゃねーし』

俺の……携帯!?
寝起きだし寝不足だし、意味わかんないし。
頭がこんがらがってきた。

つまり私の携帯は今、目の前にあるやつで。
ベッドのは…輝の?

『簡単なマジックもお客さんを喜ばすためのスキルなんだよねー』

悪びれもなく笑う輝。
マジックとかどうでもいいし!

つまりアレでしょ!?
私が輝から携帯を奪い返した時。
あん時にすり替えたんでしょ!?

『もぉぉ〜……

強く足音立てて奥へ進み、ベッドの携帯を手に取る。

『いい加減にして!!』

その携帯を思いっきり投げ付けてやった。

『智志から連絡あったらどうしてくれんの!?』

私、昨晩はずっと智志からの連絡待ってた。
きっと心配して電話してくるって。

それなのに、それなのに……

『ってか何で俺のブログ開いてんの?』

って、聞けよ!!

『そこまでしといて他人の携帯って気付かないの……ヤバくない?』

……余計なお世話だっつーの!!