駅を出てマンションに向かう。
その間もマスコミのような人達を見た。
目深(マブカ)に被った帽子のおかげか、少し見ただけでカメラを向けてくる事はなかった。
でも、それもマンションに着くまで。
マンションに近づいた私達に容赦なくカメラが向けられた。
「お父様との対面はどうでしたか?」
「何をお話されたんですか?」
プライバシーなんてもの、あったもんじゃない。
順序も目茶苦茶に質問が飛び交う。
輝は被っていた帽子をとり、代わりに私に被せた。
『今日、父と話した事は…… 3日後の会見にてお話します』
カメラを睨むように真っ直ぐに見て、輝が言った。
【やらなくちゃいけない事も沢山】
そうか……
それは、3日後の事だったのか……
ぼんやりとそう考えてるうちに、輝に引っ張られるようにして、人だかりを突っ切っていった。
私の部屋に入り、一息ついたのもつかの間。
輝は私を抱きしめるようにしてベッドに座った。
『3日後の早朝に行くよ』
『……うん』
言葉が出ない。
引き止める気力も、笑って送り出す元気もない。
ただ、不安だった。
私はきっと、いつまでも輝が好きなんだろう。
だけど……
輝が同じように想い続けてくれるなんて自信がない。
私も、輝のような強い自信が欲しいよ……
『綾香……』
と突然、輝がぽつりと呟く。
『もし他の誰かを好きになっても、俺には知らせないで』
『え……?』
急に何言って……
『俺きっと、見苦しいくらい追い掛けるから』
抱きしめられた体が痛い。
輝……感情を押し殺してる?
『みっともない真似したくないから、絶対に俺に言わないで』
まさか、まさか、
輝も不安なんじゃ……
私と一緒。
自信がないんだ。
『……馬鹿。 私は絶対に気持ち変わらないよ』
『でも』
『でもじゃない。 何年待たされても、私は輝しか好きにならないよ』
輝の気持ちに自信はないけど、これだけは自信がある。
『今度はちゃんと、私を輝のものにして……』

