少し気まずい空気を残しながら私達は、本日最終の新幹線に飛び乗った。
車内で話してくれたのは、中林社長と話した事を簡単にまとめた物だった。
養子として輝が中林社長の下へ行くのかはまだ分からない。
中林社長はそれを強く望んだけれど、輝が保留にしたらしい。
そしてそれを保留にしたまま、輝は名古屋へ行く。
中林社長と同じ世界で生きるために……
ふと、咲耶の言葉が浮かんだ。
【中林の次期社長になるかも知れないんだ】
『ゲームを始めた頃は、輝がこんな凄い人だと思わなかった……』
窓枠に肘を置き、頬杖をつく輝に言った。
『ははっ、それ俺の台詞』
『確かに』
知ってたらホストにもなってなかったんだろうな……
『でもゲームの答えを見つけたのが綾香で良かった』
『うん? どうして?』
『お互い信頼し合える人だから』
……またこの人は、恥ずかしげもなく言うんだから……
『あと咲耶もな!』
ずっと裏切っていた親友との誤解も解けた。
会いたかった父親にも会えた。
全てこれで良かったのかも知れない。
後は、私達が変わらず想い合っていけたら……
『とりあえず帰ったら荷造りするよ』
『え~、とりあえず寝なよ』
『でも2、3日で戻らなきゃいけないから』
……そっか。
もぅそれだけしか隣にいないんだ。
また、空き室か……
『やらなきゃいけない事も沢山あるしね。 マスコミも騒いでるし』
『忘れてた。 まだマンションの前にいるかな』
『多分ね』
考えただけで骨が折れるよ……

