『よし、決めた!』
居酒屋を出て数分後、私は、ある決意をした。
『どっか遠くに行こう! 北海道とか沖縄とか』
都心にいたら、いつまでも追い掛けられる。
どうせアパートにも戻れないだろうし。
『つか、そんな金あんの?』
『う……』
そうだ。
私、最近仕事してない。
これだから登録制のバイトって駄目なんだよね……
安定した収入があるわけじゃないから……
『だろうと思った。 俺が出すよ』
『……え?』
『逃げるとかってわけじゃなく、2人でゆっくり旅行でもしよう』
意外な言葉に戸惑いを隠せない。
こんな状況で旅行なんて……
ゆっくりなんてしてられないよ。
『流石にすぐ飛行機は無理だからなぁ…… 新幹線で行ける範囲だな』
輝は腕を組み、真剣に考えているようだった。
つか、考えるべきなのは、そこじゃないけど……
行き先は未定のまま、とりあえず私達は一度アパートに戻る事にした。
少しの着替えと、お金を取りに。
だけどアパートが静かなわけもなくて……
『やっぱ囲まれてるか』
沢山の報道陣が、アパートを囲んでいた。
どこからも入れる気がしないよ。
『一階だったら良かったな。 そしたら裏から入ったのに』
苦笑する輝。
確かに三階じゃ、どう頑張っても無理だ。
でも、無理なのは多分……輝だからだ。
『ベランダって戸締まりしてきた?』
『ううん。 どっちからでも帰れるように開いてるよ』
どっちからって……
何でベランダを選択肢にいれるの!?
でも、まぁ……
今回はそのおかげで、イケそうな気がするよ。
『私が着替え取りに行く。 私の分と、輝の分も』
『は? どうやって……』
『ベランダだよ。 輝みたいにベランダを伝って行くの』
輝がいつもやってるんだもん。
出来ないわけがないよ!

