私が輝を売ったなんて有り得ない。
私こそ、誰が情報を流したか知りたいよ。
だって輝の事は、私と咲耶しか知らないはずだもの……
『ごめん、うるさくして』
パチンと携帯を閉じ、一言言う。
『ううん、それより、お父さんの事……』
『あー… 別に気にしてないから』
気にしてないなんて、絶対嘘だ。
だって、私を見ようともしない。
『俺、シャワーでも浴びてくんね』
え?
ちょっと待ってよ。
『私、お父さんの事をちゃんと話したいんだけど』
背中を向けたままの輝の腕を掴み、そう言う。
ゆっくりと振り返るその顔を見るのが、少し恐い気もした。
『ごめん、一人で考えさせて』
……無表情……だった。
怒るわけでも、笑うわけでもない。
ただ、ひたすら無表情……
私を疑ってる?
事態の大きさに戸惑ってる?
ねぇ。
何を考えてるの……?
『あの、私がバラしたわけじゃないよ?』
『はは、知ってるよ』
だからと言って、咲耶を疑ってるわけじゃない。
『でも、私と咲耶くらいしか知らないのに……』
いや、待てよ。
意外に知ってる人は多いはず。
輝の身内。
たいようの家の園長。
学校の先生。
もしかしたら、もっと沢山の人が……
『ねぇ、輝は心当たりないの?』
私達の他に輝の出生に辿り着けた人。
輝なら、わかるんじゃないの?
『今までゲームした人とか、友達とか、それとも……』
『黙れよ』
『そうそう、黙…………え?』
今、確かに「黙れ」って。
輝の声で「黙れ」って……
『悪いんだけど、あんま詮索しないで』
……こんな冷たい顔、初めてみた……

