『待った待った、待ったぁ~!!!』
遊園地の脇を腕を引かれ、無理矢理に歩かされる。
行き先は、あのホテル。
『ねぇ、マジで泊まるの!? 予約無しでいきなりって無理じゃないの!?』
ずんずんと進む輝に、思い付く全ての言葉を投げかけるけど、歩みを止めてはくれない。
『聞くだけ聞いてみりゃいーじゃん。 案外あっさり空きがあるかもよ』
聞いてみればいいって~!!
こんな展開になるなんて思わなかったから準備もしてないし!
……あっ。
そういえば、下着が上下バラバラかも。
確か昨晩、適当に手前のやつを……
しょ、しょーがないじゃん!
輝のやつ、付き合ったら意外と草食系で油断してたんだもん。
って、そんな事どうでもいいっつの~!!
『……いやぁ、無茶言ってみるもんだね』
と、ピカピカに光る床の上を歩きながら言う輝。
『マジ信じらんない……』
まさか本当に部屋がとれるなんて……
しかも最上階のスウィートルーム。
『平日だからイケるかなと思ってたけどね、俺は』
なーんて、かなり無理言って用意させたくせに。
ってか、部屋が広すぎて落ち着かない。
ベッドも王様のベッドみたいだよ~!?
『綾香、こっちおいで』
『……へ?』
「おいで」っていきなり何?
まさか輝、その気になってるんじゃ……
突然の手招きに戸惑っていると、グッと腕を掴まれ窓際に連れていかれる。
そして、後ろから包むように大きな手が……
『嫌なら何もしねーよ。 ただ、せっかく最上階なんだから』
「最上階」
その言葉の意味に気付き、窓の外を見る。
『わ、ミニチュア!』
まるで模型のように小さく見える遊園地。
さっき乗ったジェットコースターも観覧車も、ここから見たらずいぶん下に見える。
『ねぇ、海があるよ! すごく遠くに海がある!』
こんなに見晴らしがいいと、神様になったような気分だよ。
『せっかく泊まれるんだから、あんな不安そうな顔すんなって』
『そ……そうだよね』
私の思ってた事なんて全部見透かされてたみたいだ。
恥ずかしー……

