『何をむくれた顔してんの』
青空を背景にし、輝が苦笑する。
『そんなにあのホテル行きたかった?』
そんなわけじゃなくて、期待してしまった自分自身に腹が立つって言うか……
『見て、ほら。 もう頂上だよ』
と言われ、大きなガラス窓に額を着ける。
すると、視界には青い空や白い雲。
そして、アリのように小さく見える地上の人間達。
『すご……』
遠くには沢山の大きなビルが、ミニチュア模型みたいに並んでる。
『な? 観覧車も悪くないだろ?』
足を組み、勝ち誇ったように笑う。
確かに悪くない。
あまり乗った事ないから、こんなに良いなんて知らなかったよ!
『綾香、綾香』
景色に魅入る私に、ちょいちょいと手招きする輝。
何だろうと首を傾げると、突然に腕を引っ張られバランスを崩してしまう。
『何して……ッ』
ゴンドラも微かに揺れたような……
『せっかくの二人きりなんだから隣に座んなよ』
『と、隣ぃ!?』
それってどうなの!?
い、いちゃつきすぎのカップルみたいじゃない!?
『え、遠慮しとく!』
だって、ほぼガラスのゴンドラだもん。
他の人から見えちゃうかも知れないし!!
『遠慮とか、ムカつくんだけど』
『へ……? んぐっ』
何がカンに障ったのか……
よくわからないうちに、乱暴に口を塞がれてしまった。
……キスで。
『こういう事するための個室……だろ?』
舌をぺろっとイタズラに出し、私を解放する。
つか、全っ然違うっつの!!

