♂GAME♀

『……ッ』

3回目のキス。
これは完全に悪意のあるキスだ。

1回目と同じ。
悪戯(イタズラ)に甘いキス……





『……3回もした』

ろくに言い返す事も出来ず、でも何か仕返しをしたくて輝を睨んだ。

『そうだっけ? 忘れちゃった』

奴はホスト。
数え切れない位のキスをする。
私とのキスもそれに埋もれてしまって、わからないんだろうな。
そう思うと悔しくて堪らない。

『嘘だよ。 自分からしたキスは覚えてるよ』

……なにそれ。
意味解んない。
それで口説いてるつもり?

『公園で初めてあんたの笑ったとこ見たら可愛くてさ……気に入っちゃった』

だとしたら相当慣れてる。
どう行動すれば私が喜ぶか。
解ってやってるんでしょ?

それ結構、性格悪いよ。

『信じるわけないじゃん。 私、お金ないから口説いても無駄だよ』

どうせ堕(オ)として客増やそうって魂胆(コンタン)だろうけど。
私、そこまで馬鹿じゃないし。
ってか餓えてないし?
金払って乗ってもらうほど困ってないっての。

『無駄じゃないよ。 綾香で儲(モウ)けようなんて微塵(ミジン)も思ってないから』

何なのよ一体。
私には智志っていう彼氏がいるのよ。

あんたみたいな顔だけ男、お呼びじゃないの。

『俺に好きになられたら困る?』

お呼びじゃないけど……
やっぱ惚れさせた男の数で女の価値が決まるってゆーの?
正直、マジになられて嫌な気はしない。

『困るってゆーか、そうゆうの考えた事ないし』

ま、めんどくさいとは思うけどね?