♂GAME♀

ドッジボールなんて本当に久しぶり。
小学校以来だから7年か8年。
もしかしたらもっと久しぶりかも知れない。

『綾香にヒット〜!』

馬鹿みたいにはしゃぐガキはうじゃうじゃいるし。
私、呼び捨てされてるし。
ボール受けれないせいか、狙われまくりだし。

もうワケわかんなくて……楽しいっつーの!!




『あー、つっかれたぁ!』

散々遊んだ後、冷たい土に寝そべって空を見た。
天然のプラネタリウム。
残念だけど今日はよく見えない。

『汗で土つくべ?』

どこからか走ってきた輝が隣に座って笑う。
手には缶ジュース。
もしかしなくても輝のおごり?
結構いいとこあるじゃん?

『ありがとー、ってコーヒーじゃん。』
『何? コーヒー苦手?』

苦手ってわけじゃないけどー……
汗かいた後は炭酸をグイーっと飲みたい気分になるんだよね。
コーヒーじゃ余計に喉渇くってゆーかさぁ。

『何だよ。 文句あんなら飲むなっつーの』

輝の指がペシッと私の額を鞭打つ。

男が女にデコピン!?
しかもこの痛み。
本気でやってんじゃない?

『ッ言わせてもらうけどねぇ! 私、喉渇いてんの! コーヒーなんて逆効果じゃん』

ガバッと体を起こし、物申してやった。
わかったかこの野郎!

『んじゃ俺飲むわ。 あんたこっちね』

……え…?
こいつ台詞間違ってない?
普通、謝るか怒るかどっちかでしょう?
何、自分のやつ譲ってんのよ。

『いらないの? オロナミン』
『い……いるいる! 大好きだし!』

ってか死ぬほど好きだし。
夏なんか箱買いだし。

『って、何笑ってんのよ』
『いや、わかりやすいなぁってさ』

……クスクス、クスクス。
人の顔見て笑うなっつーの。