どうしよう。
どうしよう、どうしたらッ!?
『智志!! やめてよ!』
私の力じゃ、どうする事も出来ない。
重いし、痛いし、苦しいし。
このままヤられるしかないの!?
……あ。
今、ガチャガチャって。
バタンって、扉の閉まる音が。
『……ッ輝!!』
隣だ!
輝が帰ってきたんだ!
『助けて! 輝!!』
届いて、聞いて、
助けにきてよ!!
『うるっせーんだよ!』
と突然、頬に受けた痛みと怒鳴り声。
予想外の出来事に、「叩かれた」と理解するのに時間がかかった。
『他の男頼ってんじゃねぇよ』
恐い。
こんなの、私の知ってる智志じゃない。
優しくはないけど、
真面目で、芯の強い人だった。
そんな智志が好きだったのに……
『あいつはお前なんか好きじゃねーんだよ。 だから俺に任せたんだろ?』
『それは……』
否定出来ない自分が悔しい。
輝の気持ちに自信がないもの。
輝が私をどう思ってるかなんて、知らないもの。
『好きなら強引にでも奪ってみろってんだよ!』
涙が溢れる。
溢れて止まらない。
輝が欲しいのは、自分の名前。
間違っても、私じゃない。
それは十分に解ってたはずなのに……
どうして、今さら涙なんか。
『なら、奪うよ』
……え?
『あんたがそう言ってくれんなら、遠慮なくやらせてもらうから』
この声は……
『輝……』

