♂GAME♀


『話って?』

話したい事がまとまってるわけじゃないんだ。

ただ、咲耶とあのままお別れするのは、どうにも気分が悪い。

恋愛対象に入らないとしても、別の形で付き合っていく事は出来ないのかな……

『咲耶の事なら無駄だよ』
『へ?』

無駄?
私、まだ何も言ってないのに。

『いくら俺が親友に戻りたくても、咲耶にその気がない』
『そんな事……』
『そうだろ? 久しぶりの再会でも、あいつの目は俺を「異性」として見てた』

真っ直ぐ前を見据え、はっきりと言い切った。
私も、言い返せないって事は、どこかで咲耶の視線に気付いてたからだ。

咲耶は、輝を「友達」として見ていない。

『俺の好きと咲耶の好きは違いすぎるよ。 俺が咲耶を抱く日は、一生来ない』

輝を冷たいと思う人もいるかも知れない。
確かに、突き放し方に遠慮がない。

だけど、

『それでもいいなら、死ぬまで一緒にいてもいいと思ってた』

輝なりに、考えての決断だったのかも知れない。

『ま、出張やってりゃ男女問わず客は来るし、咲耶の気持ちは嬉しかったけどね』

別に、輝は咲耶から逃げてるわけじゃないんだ……

『何だか難しいね……』

少しでも力になれたら、って思ったけど、私じゃ無理そうだ。

『好きなだけじゃ、上手くいかないもんね』

恋愛は、相手があって初めて成立する。
いくらこっちが好きでも、駄目なんだ。

輝に振り回された日もあったけど、気付けた事もいっぱいある。

智志との事も、今となっては良かったのかも知れない……

『難しいから、お互いが好きになった時は、凄い幸せなんだろ』
『……うん』

改めて思う。

この笑顔。
さりげない優しさ。
時には真面目に説教したりするけど、

私は今、輝が好きだ……