♂GAME♀


……は?

一瞬、耳を疑った。
「嘘ぴょーん」って……

『どういう事よ! 何でそんな嘘つくの!?』

いつもそうだ。
人の気持ちをオモチャみたいに遊ぶ。

私は、いつだって振り回されてばかり。

『もう、うんざりなのよ!』

智志の事までネタにするなんて、酷すぎる。
いくら吹っ切ってるからって言ったって、しばらくは放っておいてほしいの。

『……ごめんってば。 そんな泣くなよ』
『まだ泣いてないっつの!』

別に悲しいわけじゃないから、泣いたりはしないけどさ……

『彼氏が来てたのは本当だよ』

え……?

『本当に、綾香に会いに来てた』

輝の言葉に、恐る恐る顔を上げる。
すると、叱られた子供のようにシュンとなる輝の姿が……

何これ。
捨てられた子犬みたいな、
拾われたいと思ってそうな、

……ヤバイ。
妄想で、犬耳と尻尾(シッポ)が見えそうだわ。

『伝言は貰ってないけど、綾香に話があったんじゃないかな』

って、そうだ。
今は智志の話だった。

今さら私に何の用だろう。

仲直りしに来たとか?
逆に、文句言いに来た?

考えてもわからないや。

『じゃあ俺は、それだけの用だったから』
『へ? 帰るの?』
『ん? 帰っちゃ駄目?』

いやいや、そういう事じゃないんだけど。
やけにアッサリしてるから珍しいなぁ、と……

『じゃあ行くね。 咲耶によろしく』

なんて言って、戻っていく輝。
なんだかんだ言って咲耶の事、気になってんじゃん。

『……待って。 咲耶の事で、話あるんだけど』

仕方ないから、私が一肌脱ぎますか。