『輝の事?』
咲耶は不思議そうに目を丸くする。
『やっぱさ、親友に戻りたいんだと思う』
だって、咲耶に対して、輝は怒ってるように見えた。
それはきっと、親友だと思ってた咲耶にまで、自分の過去を隠されたから。
『裏切られたと思ってるんだよ』
だから、余計に許せなかったんだよ。
『それで?』
『それでって……』
何となく、伝えたら二人にとって良い方向にいくかと思ったんだけど、
もしかして、お節介ってやつ?
『どちらにしろ、僕は輝を裏切った』
そんな……
裏切ったなんて、間違ってるよ。
『親友だと言ってくれた輝を、親友だと思えなかった』
咲耶は真っ直ぐに私を見て言う。
『俺は常に…… 輝を、いつ抱こうか考えてたんだ』
衝撃的だった。
咲耶の気持ちは知ってたし、
私なりに理解したつもりだった。
だけど、そこまで想っていたなんて、想像もしなかった……
『輝は笑ってたよ。 寝なくても、俺は咲耶が大好きだよって』
ああ、そうか。
だから輝が、あんな事を……
【セックスが、愛情の全てとは限らないんだよ】
あれは、咲耶との事だったのか。
【中には「セックス=愛」と思ってる人もいるから】
価値観の違い、か。
『僕は駄目だ。 輝を自分のものしなきゃ、満たされない』
私が考えていたより、ずっと難しい問題だ。
『そのためのゲームだったのに、あんな結果になるなんて……』
こんな時、漫画やドラマなら、輝が物陰から見てる。
なんて展開になるんだろう。
だけど、現実はそうはいかない。
そう、単純にはいかないんだ……

