こうして好きになったから、
今さらながら、あんな形でゲームを終えた事を後悔していた。
うん。
やっぱ一回くらいエッチしとくべきだったかな。
……なんて……
『欲求不満の獣か、君は』
眠れないからと来てしまった、あのホストクラブ。
私の話を聞いた咲耶は、虫けらを見るような目で言った。
『だってさぁ。 智志と全っ然違うんだって』
キスも、触れ方も、全部……
『痛いだけだったんだもん……』
女は、男の下で我慢する。
エッチって、そんなもんだと思ってた。
だけど、あんな暖かいものだったなんて……
『ところで、ゲームは終わったのに何でここに来るんだ?』
いやいや、そんな冷たい事言わなくても。
理由は一つでしょ。
『輝の事わかるの、咲耶だけだもん』
誰に相談するより、一番ベストだと思うんだよね。
『それに、咲耶は烏龍茶だけで相手してくれるから、助かるんだよねー』
こんな高級ホストクラブに安く入れるなんて、利用するしかないっしょ!
『はっ、ずいぶん安い扱いだな』
『褒めてんだけどね?』
『まぁ、そういう事にしておくよ』
咲耶はそう言って笑って、チョコレートの盛り合わせを出す。
なんと、これも咲耶のサービスだったり。
私が遊びに行くと必ず出してくれるけど、一度も伝票に載った事がないんだ。
咲耶が払ってるんだろうけど、咲耶は何も言わないし。
『輝と上手くいってるみたいで安心したよ』
『うん?』
『僕みたいに、捨てられると思ってたからさ』
捨てるという言葉を、前からよく使う咲耶。
輝に捨てられた事を、根に持ってるんだろう。
『やっぱり、君が女で、僕が男だからかな』
よくこんなふうに、皮肉混じりに言うんだ。
『あのさぁ、咲耶……』
それを聞く度に、ゲームは終わってしまったけど、やらなきゃいけない事は他にもあるって思うんだ。
咲耶に、輝の気持ちを伝えなきゃ……って。
『輝の事なんだけど……』

