♂GAME♀

夜の公園。
街灯が子供達を照らす。

軽々とボールを避け、跳ね回る姿は何だか幻想的に見えた。

『近くにさー、保育所あるの知ってる?』
『保育所?』

いきなりの質問に顔をしかめてみると、輝はフッと笑みを見せた。

『夜働く人の為の保育所。 あの子達は朝寝て夜遊ぶんだ』

それって体的にどうなんだろう。
負担かけてたりするんじゃないの?

『寝ればいいじゃん、夜。 子供らしくさー』
『俺もそう思うけどね! でもやっぱ親の顔見たいんじゃん?』

……そうか。
夜寝て朝起きる生活をしていたら、親と真逆になってしまう。
話をする事も遊ぶ事も出来ないのか。

って、私が気になるのはそんな事じゃない。
何で輝がこの子達といるのか。
それが一番気になる。

『輝は何してんの。 保育所から依頼でも受けてんの?』

私の質問に対して輝は即答する事なく、子供達の方へ歩いていく。

『ちょ、ちょっとッ……』

シカトって有り得なくない?
自分の言いたい事だけ言っちゃってさぁ。

『ボランティア』
『は?』
『質問の答えだよ。 ホストとしてじゃなくボランティアで来てる』

随分と遅い答えに、少し戸惑いながら「そう」と返す。
てっきり無視されたと思ってたから。

『綾香は何しに来てんの? さっき客来てたじゃん?』

輝は上着を一枚脱ぎ、腰へ縛る。
華奢(キャシャ)ながらも程よくついた筋肉に、少しばかり目を奪われる。

『彼氏。 つまんないから散歩しに来た』

「輝を追い掛けてきた」
そんな事は言えるわけもなく、適当に出す答え。
輝は困ったように笑うと私に手を差し出してきた。

『ドッジしてく?』

ドッジ?
こういう時ってもっと他に言う事あるでしょ。

そんなんじゃ女の子にモテないよ。

『あーんなセックスするよりは楽しめると思うけどね』

…馬鹿ホスト……