♂GAME♀


もう二度と、輝と関わる事はないんだと思った。

もう二度と、笑ってくれないんだって思った。

私だって、輝と他人になる決意をしたし。
ブログだって見るつもりなかった。

だけど、最後に一度だけ。
一度だけ、輝の気持ちを覗いてみたかったの。

そしたらこんなブログ……

『馬鹿……』

更新されたばかりのブログと、輝の寝室と隣り合わせの壁を見合わせ、


涙が止まらなかった……


「ありがとう」と、どんな顔で綴ったの?

笑顔だった?
辛い顔してない?



片付けたばかりの、殺風景な部屋の中……

智志がいなくなった時よりも悲しい気持ちで、眠りについた……








『おはよう』

太陽が真上に昇る頃、甲高い女の声で目が覚めた。

しかし、眠い目を擦りながら見渡しても、部屋には誰もいない。

と、いう事は……

『輝の部屋に来るの、久しぶりだね』

やっぱり隣か。

『早く二人きりになりたかったのぉー』

何だ、その鼻にかけたような声は。

輝に媚びてるのが見え見えだ。

ブツブツと文句を言いながら、気付けば右耳は壁へ……

しまった。
無意識に盗聴してる……!

ヤバイよ。
全然イタい。

輝の事を考えるのが、日常化してる。

名残惜しいと思いながら、壁からゆっくりと離れる。

その時だった。

『アパートに入るの許可してくれたってのはぁー…… 期待していいんだよね』

女の期待を込めた台詞を聞いたのは……


嫌だ。
それって、どういう事?

まさか、前みたいにお客さんと……?

嫌。
嫌、嫌。

私の隣では出来ないって言ったじゃない!

昨日、私が拒んだから?
だから当てつけるの?

他の女を抱くの?

『……ッ輝!!!』

そんなの、私……
許さないから……