♂GAME♀


ゲームは終わった。
いとも簡単に……

輝は私に付きまとわないと宣言し、私もそれに同意した。

全てが終わったのに気持ちが晴れないのは、何も解決してないからだ。

輝はきっと、他の人を探すだろう。
私なんかより、もっと頭のいい人を……


『……晴天』

澄み切った青い空。

久しぶりにベランダに布団を出し、部屋を片付ける。

最近はお客さんもいなかったし、掃除もおろそかだった。

テレビの上や本棚にもホコリが積もり、鏡は指紋だらけ。

そうか……
いつも智志がうるさくて、マメに掃除してたんだった……

智志と別れて、もう二週間。
メールも電話もないし、会いに来る事もない。

本当に終わりだ。
もう、終わったんだ。

だったら、この写真立ても捨ててしまおう。

ずっとベッドの傍に飾っていた2人の写真を、ゴミ箱に捨てる。

あれもこれも……
智志の物を捨てると決めたら、きりが無かった。

気付けばゴミ箱は満タン。
最後の仕上げに、携帯のメモリを消した。

これで本当に全部捨てたんだと思ったら、妙に寂しい気がした。

愛情はとっくに無くなっていたんだと思う。
捨てられなかったのは、智志に依存した私の弱さ。


依存から抜けて、強くなるんだ。

もっともっと強く……

一人でも寂しくないくらい……