痛いくらいの力で腕を捩じ伏せられる。
涼しい顔しながら私に与えられるのは、感じた事のない程の……快楽……
いつか聞いた。
どうしてお客さんと寝るのか。
「服も脱いでないよ」って笑う輝に、私は驚愕したんだ。
ずっと隣で淫らな声を聞いてきた。
だから、てっきり最後までしていると思ってた。
まさか、手だけだったなんて……って驚いたんだ。
でも今なら解る。
輝は、全然違うって。
痛かっただけの意味のない行為が、少しずつ本当の意味に変わっていくの。
輝によって、少しずつ少しずつ……
『綾香。 もう止めらんないからね』
バサッと潔くシャツを脱ぐ姿に目を見張る。
引き締まった硬い体が、覆いかぶさって……
『輝ッ……!』
どうしよう。
どうしよう!!
やっぱり私……ッ
『嫌だ!! やめて輝!』
こんなふうに抱かれたくない!
『こんなの違うよ! 何か違う!』
一度だけなら抱かれてもいいと思ってた。
それでゲームが終わるならいいって。
でも、こんなの悲しすぎる……
『だったら教えてよ。 綾香の知ってるゲームの答えを』
淡々とした口調で言う。
怒っているみたいだ。
『それか、答えを隠す理由を』
輝は知ってるんだ。
私が全て知ったって事を。
言わない私に、本気で怒ってる。
『咲耶もそうだった。 俺はあいつを親友だと思ってたのに』
と、口を閉ざしたままの私に痺れを切らしたようにそう言って、掴んでいた手を離す。
『ある時、俺を好きになったと言い出して、アイツは勝手にゲームを始めた』
声が少し震えてるような気がして、私は恐る恐る顔を覗き込んだ。
怒っても見えるし、寂しそうにも見える表情(カオ)。
『それなのに急に、咲耶は「飽きた」と言ってゲームを降りた』
……違う。
それは違うよ。
咲耶は輝のために、自ら身を引いたんだよ。
『咲耶も綾香も、俺の何を知って態度を変えたの?』
……きっと不安なんだ。
自分が何者かわからなくて。
でも……
『ごめんなさい……』
私も咲耶も、輝が大切だから……
言わない……

