♂GAME♀


『ゲームの代償。 忘れたわけじゃないよね?』

小悪魔が笑う。
それだけで、体が熱を帯びたように熱くなるんだ。

帰りの新幹線の中や、夜ベッドで考えてた。
ゲームが終わった後の事。

輝のものになるという事も。

『覚悟は……してきた……』

そう、覚悟してきたんだ。

輝に全てを話すより、輝に従う事を選んだんだ。

『輝のものになる覚悟は……出来てる』

声が震える。
恐怖に似たような、期待とは程遠い感情。

覚悟してきたけど、やっぱ輝を目の前にしたら迷いが混じる。

『だったらさぁ』

と突然、顎(アゴ)を掴まれ強引に上げられてしまった。

『俺の目を見て言ってよ』

目が合って……反らせない。

『愛してるって』
『……え……?』
『綾香の覚悟を示してよ』

示すなんて言われても……

『俺の目を見て「愛してる」って言うんだ』

ジリジリと迫る輝の体に、逃げ出す事も忘れて立ち尽くしてしまう。

いつの間にか恐怖心は消え、落ち着きを取り戻せた。

『体だけじゃ駄目なの?』

「愛してる」は言えない。
だって、輝が本気で望んでないもの。

『一度だけ、輝とするから』

ゲームの答えを貰えなくて、きっと意地になってる。

私の体だって、きっと本当は欲しくない。

ゲームの代償に私自身を望んだのは、私を真面目に取り組ませるため。

そうまでして、自分の過去を知りたかったんだよね?

ねぇ、輝……?


『いいよ、一晩で許してやるよ』

……え?

『でもきっと綾香は、二度目を望んでくるだろうけど』
『ひ、輝ッ』

腕を掴まれ、ベッドに引きずり込まれる。

輝、本気なの……?