特に話す事もないまま電車に乗り、一軒目の神河さん家に着いた。
が、しかし。
インターホンを押す勇気が出ない。
まだ何を聞くか整理もしてないし、何が聞きたいかもわかっていないし。
こんな混乱したままで輝の親に会っていいんだろうか。
《ピンポーン》
って……オイ!!
『勝手に押すなっつーの!!』
私の気持ちを無視してインターホンを押した咲耶に怒鳴る。
『顔を見れば、嫌でも言葉が浮かぶだろ?』
なんて意地悪な顔なんだ。
本気で性格悪いってば……
『はい。 どちら様で?』
少しして玄関から顔を出したのは……50近い女の人。
この人が、輝の母親?
『はっ、初めまして。 真白といいます』
とりあえず挨拶をして、それから聞きたい事を聞かなきゃ。
『あのッ、この家に二十歳くらいの息子さんがいませんか!? 今いなくても昔はいたとか……』
『綾香、ストップ』
まだ質問の途中だったのに、隣から咲耶に止められてしまう。
「シー」と人差し指も立てられちゃうし……
『少し落ち着くんだ』
って、誰のせいでアタフタしてると思ってんのよ。
まだ心の準備も出来てないのにインターホン鳴らしやがって……
『失礼ですが、神河輝という男の子をご存知ないですか? 二十歳になるんですが……』
咲耶はニッコリと笑顔を見せて尋ねる。
流石だ。
場慣れしてる。
こうでなければ、No.1ホストにはなれないのか……
『あんた達、あの子の友達かい?』
と、ようやく返ってきた応え。
どう考えてみても、輝を知っている人の台詞だよね。
「あの子」って、輝の事だよね!?
『輝を知ってるんですね!?』
思わず体が乗りでて、おまけにオバサンの肩まで掴む始末……
さすがに不快そうな顔をされてしまった。
『確かにあの子は、ここで生まれたよ。 だけど、今は関係ないね』
え……?
関係ないって、そりゃ無いでしょ。
『あなた、本当に輝の母親なんですか?』
ちょっと、冷たすぎるんじゃない?

