『そこで何をしてるんだ!?』
作文を見終わるのと同時だった。
運悪く、図書室に入ってきた人物がいたのだ。
少し年配の、頭の薄くなりかけたオジサン。
この人は……先生だ。
『すみません先生。 どうしても調べたい事がありまして』
と、咲耶がアルバムを見せ言った。
『君は、去年来た……』
『はい。 お久しぶりです』
「久しぶり」って、この状況で何言ってんのよ。
逃げるとか謝るとか、他にしなきゃいけない事あるじゃんよ。
『また神河くんの事かね?』
明らかに不機嫌な態度に、私は言葉が出なかった。
ただ、隣で咲耶の言葉を待ってるだけで……
『悪いが、彼の事で話す事はないよ』
『そうですね。 去年もそう言ってましたね』
『わかったなら、すぐに……』
教師がそう言い出した時。
咲耶はそれを遮るように口を開いた。
『この作文にある通り、輝は全てを知りたがってます』
挑発するような、強い口調で。
『輝は、先生方に何も聞きませんでしたか?』
二度に渡る不法侵入に、尋問。
本当だったら、警察を呼ばれてもおかしくないよ。
今のうちに逃げた方がいいような気もするんだけど……
私も、ちゃんと輝を知りたい。
『君は、神河くんの事を知る事が出来たのかね?』
『全てとは言いませんが、大体は』
『なら、それは胸にしまっておいた方がいい』
胸にしまう?
どうして?
『あの…… 本人が知りたい事を知って、何が悪いんですか?』
ずっと黙っていようと思ったけど、やっぱり黙っていられない。
『輝の知りたがってる事って、そんなに悪い事なんですか?』
あの作文を目にした時に決めたんだ。
輝の知りたい事を、代わりに知って帰ろうって。
輝にきちんと伝えて、二度とゲームが始まらないようにしようって。
だから……
『良し悪しじゃなく、神河くんのために、胸にしまうんだ』
だからなのに……

