『東京に、帰ろっか』
輝の名前を知って、急に襲った疲労感。
時間にしたら、たった半日の事だけど、何日も歩いたかのように足がクタクタ。
もう目指す場所がないからかな。
これ以上、歩き回る気力はない。
『アルバム全部見た?』
『は?』
『後ろの文集の方まできちんと』
なんだろうと思ったけど、読みたい気持ちもあったし。
卒アルに再度目を通す事にした。
個人写真にクラス写真。
部活動にスナップ写真。
たくさんの写真が載るページが終わると、後半は簡単な文集になっていた。
「両親」
そのテーマに、胸が締め付けられるような想い。
両親のいない輝は、何て書いたのだろう。
小さな好奇心で動いていたページをめくる指は、スピードを増して輝のクラスへと飛んだ。
『何これ……』
中学生が書いたにしては、妙に大人びた文集。
わずか15歳の少年が書いたものとは、到底思えない。
「無から生まれた存在」
何かの論文のようなタイトルに目を奪われる。
「何も無い所から命は生まれるのだろうか」
「何も無い所から僕は生まれた」
「僕の出生を知るもの 正体を知るもの」
「誰ひとりいないのかも知れない」
自分の存在について、独り言のように綴られる文字。
自然と涙が溢れてくる。
今すごく、輝のSOSが聞こえるよ。
「もし僕を知る人がいるのなら その全てを教えてほしい」
「僕の両親は どこにいますか?」

