♂GAME♀

夜が近づき、空は紫。
茜色の夕焼けで綺麗だった数分前の空は今はなく、闇に取り込まれるようにして寂しげな空へと変わっていった。

室内には麻雀ゲームの効果音のみ。
「この勝負終わってから」
そう智志が言ってから一体どのくらい経っただろう。
少なくとも麻雀は3ゲーム目に入ってる。

顔は普通だし。
セックスにおいては自己中心的。
性格はよく解んない。

探せばいくらでも智志よりいい男がいる。
それを解っててもこうしているのは、もう私にも理解不能だ。

「それでも愛してるから」
そんなふうに言い切れないとこが情けないとこだよね。


『キャハハハハ 輝〜!』

と突然、麻雀以外の音が私の耳に入る。

『輝ー 次、何する〜?』

また女か。
本当、客が絶えないよね。

『公園行くべ、ドッジやりに!』

ふーん、ドッジ。
またドッジなのね。
ドッジ…え!? ドッジボール!?
エッチじゃなくてドッジ!?

『賛成〜!!』

それにこの声、部屋からじゃない。
アパートの……外…

『……智志、私ちょっとコンビニ行ってくる』

ゲームに夢中の智志に言い捨て、部屋を出る。
智志から返事は無かったけど、それはいつもの事。
大して気にはならなかった。