そうと決まれば荷造りよ!
今回は、何か手掛かりを見つけるまで帰らないんだから!
シャンプーもリンスも入れて、歯ブラシも入れて……
待ってよ。
名古屋に行って、どうやって輝の事を聞くの?
本名も年齢もわからないのに……
顔の特徴を話すのは難しいし、似顔絵は上手く描けない。
せめて、写真だけでもあれば……
でも、輝から写真を貰うなんて出来ないよね。
名古屋に行く事を話したらきっとくれない。
デジカメで撮るっていう手もあるけど、こんな時にかぎって隣は留守。
きっと指名が入ってるんだろう。
他に写真が入手出来そうな場所は……
Bitter Sweetだ。
咲耶ならきっと、持ってるはずだ。
『それで、僕の所に来たのかい?』
仕事中に割り込んできた私に、咲耶は怪訝そうな顔を見せた。
『一枚くらい持ってない?』
『あるけど…… いくら僕でも、写真を持ち歩く趣味はないな』
いやいや、そんな風には思ってないんだけどさ……
『出発は明日? 何時に行く?』
と突然。
咲耶はそう言って、私の頬に触れた。
『僕が一緒に行ってもいいよ』
予想もしなかった言葉に、思わず呆然……
咲耶が名古屋に……?
『変な顔だな。 一緒に行こうと誘ってるんだ』
『ちょッ 無理だよ! 絶対無理!!』
ようやく我に返り、頬に触れていた手を払いのける。
何で咲耶と一緒に行かなきゃなんないの!?
『明日、東京駅で待ち合わせよう。 写真はその時に持っていくよ』
ちょっと待ってよ~!!
何で勝手に決めちゃうの?
咲耶と行くなんて、絶対に無理だよ。
勘弁してよ……

