『そういえば、何か用?』
用意された朝食をムシャムシャ食べる私に、目の前で頬杖ついた輝が言った。
……あれ?
そういえば何で来たんだっけ?
ちゃんとした理由があったはずなのに。
『もしかして俺に会いにきたとか?』
シシッと意地悪に笑ってみせる。
『本気でそう思ってる?』
『そうだったら嬉しいかな』
そんなわけないじゃん、馬鹿。
『つか、金借りにきたとか言うなよ? それ言われたら、さすがにヘコむから』
『まさか! 何であんたに借りなきゃ……あぁ!!』
そうだ!
アウトレットのお金返しにきたんだった!
忘れて帰っちゃうとこだったよ。
『いやぁ、ごめんごめん。 ずっと借りっ放しだったね』
軽い謝罪をしながら財布を開ける。
中から一万円札を出して輝に差し出した。
『いや、マジで返ってくるとは思わんかったわぁ。 仕事頑張ってんだ?』
『まぁね! このまま頑張っていけば親の仕送りとか要らないかも』
なぁーんてね。
さすがに調子のりすぎか。
『偉いじゃん。 つい一ヶ月前までスネっかじりだったのに』
本気で言ったわけじゃないつもりの台詞に優しい笑顔が返るから、何だかバツが悪かった。
『今の綾香なら、きっと出来るよ』
『か……買い被りすぎだよ』
『そんな事ないって。 最近の綾香は、すごく強く見えるよ』
強く……?
私が強く見える?
『もう男でウジウジしてる綾香はいない……って感じ』
それは、悩む時間がないっていうか……
ってか智志に会ってないせいもあるし。
仕事だって、お金が欲しいから適当に始めただけだし。
でも、仕事の楽しさ知っちゃったりなんかして。
『格好良いよ。 すごく』
いまいち誉め過ぎな気もするけど、何だか凄く、照れ臭いなぁ……

