もし、輝の目的が私じゃなかったら。
もし、自分の名前を知る事が目的だったら。
きっと、それでも……
ううん。
そうだったら、私は絶対にゲームに勝たなきゃいけない。
勝って、このゲームを終わりにしなきゃいけない。
……そんな気がする。
『なぁに大人しくなっちゃってんの』
意地悪に言ってみせる輝の表情は、寂しさを隠すためのものにも見えた。
『輝。 私、絶対にゲームに勝つから』
本当の輝を見つける。
そして、輝の本当の目的を知りたい。
『そりゃ、楽しみにしてるよ』
うんうん。
楽しみにしててね!
『あ~、疲れたぁ』
早朝に始まった名古屋への旅。
自宅に帰れたのは、夜の11時頃だった。
『新幹線使えばよかったのに』
『あんたが普通電車乗ったんでしょうが!』
『いや、咲耶がすすめてきたからさぁ』
ハハッと笑う輝。
つか、あんたも咲耶に踊らされてるんか!!
マジ騙された気分だよ……
『ってか、咲耶と仲良いんじゃん』
連絡なんか取り合っちゃって……
心配して損した。
『店にいた時から仲良いよ』
『……へぇ』
『ただ、意地張って…… お互いに連絡しなかっただけ』
すっきりしたような、晴々した顔。
一応、仲直りしたって事かな。
つか、ネットの噂ってアテになんねー……
咲耶が追い出したとか、輝と仲悪いとか……
有り得ないっつの!
『まぁ、また「親友」って思える日は、まだまだ先だろうけどね』
私には2人の事情はわからないけど。
親友に戻れる日は、そんなに遠くないよって、そう思った……

