「ケータイ教えてよ」
すでにケータイを手に持つ昴は
あたしのかばんからケータイが出てくるのを待っている
爽やかな彼から放つ香りは
爽やかな香水
そんな昴は何であたしなんかに声を掛けたのか
ただいま彼氏募集中と
背中に書いてあったのかなぁ
夏休みに彼氏のいないあたしは暇つぶし程度に思い
昴と赤外線をした
「ななかって虹なんだ」
「そう、空にある虹」
「俺の名前も空にあるんだぜ」
知ってるよ
昼間や夕方の雨上がりに出てくる虹
夜の空に輝く昴
晴れた夜空の昴は
雨上がりの後
たまにしか現れない虹を
見つけてくれた