その姿を見て、


(また、奈緒が遠くなった―…。)


そう感じては、胸が苦しくなる。決して誰にも頼らない奈緒。
このままじゃ、奈緒自身がもたないのは目に見えていて。


あの女性を‘早く見つけないと’という焦りばかりが先走る。

奈緒には悪いけど歩のところは使わせて貰う。

プライドとか、そんなモノどうでもぃい。

奈緒を助ける為には手段は選ばない。どんなに酷い事でも、どんなにバカにされても、俺は奈緒に笑って貰いたいんだ。

奈緒の為になら、仲間だって利用する、さ――………………。



ゆっくりと目を閉じて、気持ちを落ち着かせた。


(まだ、大丈夫。

奈緒も俺も…まだ大丈夫だ。)

そう自分に言い聞かせながら。




気持ちを落ち着かせた後、俺はまた直ぐにバーを出て女性の姿を探し回った。





結局、この日も見つからなかった―…。