本当に理由はない。
だけど何故か遠くに行きたかった。
「しいていえば…『バー』から離れたかったのかもーー‥」
俺がそう言うと歩は少し目を見開かせた。
でもーーー‥
「俺も少し分かるかもしれないです‥」
ーー‥と言った。
「あの廃虚したバーはもう俺達の溜まり場になったんですけど、時々…闇に飲み込まれそうになるー‥」
「…。」
「…だから俺も時々バーを出たくなります。」
俺はただ歩の話に耳を傾けた。。
「あのバーは闇に支配されて居るような気がするんです。」
その通りだ、と思った。
「さすが歩だねーー‥」
と、俺は少しの笑みと一緒に口を開く。

