「姉の事、傷つけ続けてきたのは、きっとあたしです。」



「そんな事無いと思いますよ?・・」



「いや、ほんとに。姉は辛いはずです。今までずっと辛かったはずです。それを誰にも言わず一人で抱え込んでいたはずです。あたしに弱音なんてひとつも吐きませんでした。」



「。。。駒野。。」



「あたしの家、家庭環境悪いんです。母は、鬱病なんです。母をそこまで追い込んだのは他でもない。あの最低な男のせい・・。あんな男、もう父親なんて言いません。暴力・酒・女。母はそんな状況を耐えてあたし達を守り続けてきてくれた・・・。」


そんな事が・・・駒野に・・・。



普段は、元気で、ちょっと生意気で、でも素直な何不自由ない奴だと思ってた。



違ったんだな。



あいつ、必死に耐えてたんだな。



でも。いい妹持ってんじゃねえかよ。



「姉を支えてあげて下さい。お願いします!」



妹さんは、とても頭を下げている。



「頭上げて下さい。」


妹さんがゆっくり頭を上げた。


妹さんの頬には、きれいな涙が伝っていた。