ロールプレーイング17

何時間ここで僕は泣き続けていたのだろう、、。気付くと日差しは、だいぶ西に傾いていた。オレンジ色に染められた町。僕の町。遠くで電車の走る音が聞こえた。見覚えのある景色を上から見下ろすと、生きてる現実を実感できた。少し落ち着いたって、自分でも解るくらい冷静さを取り戻すことが出来たみたいだった。オレンジ色の夕日を見ていると、なぜか無性に落ち着いた。夕日にそんな作用があるのかなんて解らないけど。僕はこの場から、沈み行く夕日を見届けることにした。今日見る夕日は、、。今日しか見れない夕日だった。
「僚介、、、会いたいよ、、、。」
 世界中でいま、僕がこの場所にいることを知っている人間はきっと一人も存在しない。寂しかった。だけどもう、死のうという感情が無いことだけは確かだった。

 携帯電話が鳴った。

 誰かと繋がれる感じがして、少し嬉しかった。
 僕は携帯電話を開いた。見知らぬ番号だった。
エリアの無いコード090
「はい。」
 
「一か?今どこにいる?」
 井上さんだった。ケータイ電話にエリヤは無い。電話をかける井上さんも僕の居場所を特定することは出来ない。
「地元にいます。」
 自殺を考え十二回の屋上にいるなんて、口が裂けてもいえる事ではなかった。
「そうか、ちょっと付き合わないか?」
 その言葉が、すっと僕の中に入ってきた。

 僕はゆっくりと立ち上がり、元来た道を歩き返した。瞳の中にさっきまで見ていた夕日の残像が、瞬きをするたびに蘇った。まるでストロボのように、、。
 さっきまで上から見下ろしていた大地を僕は確りと踏みしめた。見上げるとさっきまで僕のいた十二階の屋上は、ひっそりとたたずみさっきまで僕があそこにいたことさえも、嘘だったかのように静に今日最後の光を浴びていた。