このクラスは最悪だった。一年のクラスの二の舞だ、自分の居場所を確保しようとする、グループ争奪戦があっちでもこっちでも、勃発していたのだから。
僕は一瞬でやる気、を失った。

やってられない。

僕は、学校に行くことをやめにした。

忌々しいあの学校に行かなくて済むと思うと、体中が開放感で満ち溢れていくのを感じた気がした。やっと自由が味わえる、楽勝って言葉が頭に浮かんで、その言葉はなかなか、頭を離れようとしなかった。

もっと早くに決行すべきだった、一瞬僕はそう思った、だけどすぐにそれを取り消した、だってそうだろ、今の僕には僕だけの時間なんていくらだって存在するのだから。

とわ言っても、学校に行かなくなることに対して一番厄介な人物、それはほかでもなく一番身近で一番うるさい存在〝自分の親〟だった。忘れないうちにうちの親の説明をしておこう、僕の父親は市議会議員をやっている、選挙前なんかは特にだがほとんど家に帰って来ることはない。自分のことが精一杯で家族の存在なんて、すっかり忘れちまっているらしい。おかげでうるさいことを言われないで済むのは有難いことだったけど、、、。唯一つ言いたいこと、それは親父のポスターがウザイってことだった、小学校の横の壁、駅前の掲示板、ご丁寧に家の玄関先にまで、オヤジ、オヤジ、親父の笑顔!なんで同じ家に住んでるくせに、本人よりもポスターを見る回数の方が多いんだよ、、、。僕は物心付いた時から常々、そう思続けてきた。
そしてうちの母親はというと、小言がうるさいわりにお人よしで、すぐに人にだまされる。いつも家にいるせいで訪問販売やねずみ講に引っかかることもしょっちゅうで。こないだなんかスゲー高い布団を買わされていた。
僕はその時階段の踊り場から営業マンと母親の会話をこっそり盗み聞きをしていた。言うまでもなく営業マンは、いんちき臭い効能を、自慢げに歌い上げ、まんまと興味を引き付けさせていた。母親はその話に熱心に耳を傾けていた、聞くほどの話じゃないって思いながらそのやり取りを聞いていると、母親の口からとんでもない言葉が飛び出した。