玄関のチャイムが何度か鳴ったが、優はソファーに座ったまま一歩も動かなかった。 おそらくいつきだろうが、他の誰であっても優が動く事はないだろう。 「…明日か」 気付けば桜さんの出発が明日に迫っていた。 「桜さん…」 あなたのおかげで私の世界に桜が咲いた。けど、その桜も明日で散ってしまう。 そんな世界で私は今までと同じように生きて行けるのだろうか。 「……」 優はおもむろに立ち上がり、外へと向かった。