学校には、結構早く着いた。

グラウンドを通っていると、じゃりじゃりと砂の音がする。

夢が無いなあ、私って。

嘉田有(かだ・ゆう)、中学二年生。

別に友達がいないわけでもないし、クラスの人気者ってわけでもない。

でも、どっちかって言うと、地味グループに入る方だった。

だから、‘あの人’に目をつけられることも無かったと思うのに…