カカオ90%チョコ



暖かかった。
ワタシのドキドキに負けないくらい、桜井くんの心臓は脈を打っていて、それが心地よかった。


その心地よさに、涙が溢れた。


「ちょ、え、泣いてるの?」

「う、うぇ、」

「み、みさとちゃん、」


密着してた体を離してワタシのうつむいた顔をのぞきこむ。


「っ」


桜井くんが息を呑むのが聞こえた、と思ったら、目に柔らかい感覚。
驚いて目を見開くと、真っ赤な顔で口元を手で隠した桜井くん。


「っ、泣くのは、反則だよ、」

「ご、ごめ、」


慌てて手で涙を拭おうとしたら、その手を掴まれて、瞼に唇をおとされた。