暖かかった。
ワタシのドキドキに負けないくらい、桜井くんの心臓は脈を打っていて、それが心地よかった。
その心地よさに、涙が溢れた。
「ちょ、え、泣いてるの?」
「う、うぇ、」
「み、みさとちゃん、」
密着してた体を離してワタシのうつむいた顔をのぞきこむ。
「っ」
桜井くんが息を呑むのが聞こえた、と思ったら、目に柔らかい感覚。
驚いて目を見開くと、真っ赤な顔で口元を手で隠した桜井くん。
「っ、泣くのは、反則だよ、」
「ご、ごめ、」
慌てて手で涙を拭おうとしたら、その手を掴まれて、瞼に唇をおとされた。

